Dementia care Support Team(デメンティアケアサポートチーム)
入院中の環境は、馴染みのない大勢の医療者、点滴、医療機器の音、カーテンで仕切られた部屋など、日常とはかけ離れています。高齢者や認知症の方の場合、病気による体調不良に加えて慣れない環境で不安を抱えながら治療を受けなければならないためとても大きなストレスになります。そのため、入院していることがわからなくなったり普段できていることが上手くできず(認知機能の低下)さらに不安になり、混乱や興奮(せん妄)をしてしまうことが多くあります。このような症状を持つ患者さんに安全な療養環境を提供し、安心して治療が受けられるように支援することが必要です。
認知症ケアサポートチームは、認知症診断の有無に関わらず、認知機能の低下やせん妄を予防し安全で安心した療養生活を過ごせるようにサポートすることを目的として活動するチームです。
●認知症サポート医
肺炎や心不全、骨折などの身体的な病気と併せ、認知症の主な症状とそれに伴う行動異常(大きい声で騒ぐ、歩き回る、幻覚や妄想、介護を拒否するなど)や、せん妄(混乱や興奮)に対する薬剤調整を含めた医学的提案を行います
●認知症看護認定看護師
患者さんの状態を把握し、患者さんが笑顔で療養生活を送れるように病棟看護師と連携して看護ケアのサポートを行います。また、チーム活動が円滑に行えるように回診の調整も行います
●社会福祉士
患者さんとそのご家族が住み慣れた場所での生活が継続できるように、社会資源を活用し関係機関と連携を図りながら支援しています。「認知症ケア専門士」の資格をもっているので、その知識を活かし患者さんやご家族に関わっています
●作業療法士
患者さんの持てる能力を維持・拡大し、退院後の生活に向けたリハビリテーションを提供しています。また、認知機能の低下した患者さんに対し認知機能テストを実施してその結果をチーム内で共有しています
●管理栄養士
認知機能の低下に伴い食べる意欲の低下した患者さんや摂取量の少なくなった患者さんが、必要な栄養量を確保できるよう嗜好なども伺いながら、食事内容を調整しています。そして、認知機能の低下があっても食事が「美味しい」「楽しい」と感じて頂けるようサポートしています
●薬剤師
薬を使った治療が行なわれている患者さんや、薬が必要と判断された患者さんには、その症状に合った、そしてより安全な薬剤調整が行なわれるようサポートしています
様々な身体疾患によって入院された高齢者、認知症患者さんの尊厳が守られ安全で安心した療養生活ができるように、多職種でサポートを行っています
ユマニチュード(フランス発祥の知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションに基づいたケアの技法)やタクティールケア(スウェーデン発祥のタッチケア:「触れる」ことで心地良さ、安心感、痛みの軽減をもたらすケア)を取り入れ、患者さんの不安やストレスを緩和し、患者さんが安心して過ごせる、患者さんの心に寄り添える看護ケアを目指しています
2022年度より「認知症ケア加算1」を算定し、より一層、認知症ケアの充実と身体抑制低減への取り組みを行なうべく、各部署の看護師(看護部 高齢者ケアチーム)と連携し、患者さんと関わる職員の認知症ケアの知識向上を図っています
・病棟回診および話し合い
・病棟スタッフからの相談対応
・身体抑制解除に向けた取り組みへの助言
・職員への院内研修開催(認知症の基本的理解・ユマニチュード・せん妄対策など)